「もうすぐ小学生、予防接種は大丈夫?」就学前に受けたいMRとおたふくかぜ
- 2026年11月1日
- 予防接種
「もうすぐ小学生、予防接種は大丈夫?」就学前に受けたいMRとおたふくかぜ
「就学時健診のお知らせが届いて、久しぶりに母子手帳を開いてみたら、まだのワクチンがあるかもしれない…」。入学準備で慌ただしいこの時期に、そう気づく保護者の方は少なくありません。予防接種のことまで気が回らないのは、とても自然なことです。この記事では、小学校入学前(年長さんの1年間)に受けておきたいMRワクチンとおたふくかぜワクチンについて、受ける理由と時期をお伝えします。
先にお答えします
年長さんの1年間に受けておきたいのは、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の2回目と、おたふくかぜワクチンの2回目です。MRワクチンの2回目は3月31日まで無料で受けられます。まだの場合は、2つを同じ日にまとめて受けると通院が1回で済みます。
MRワクチンは、なぜ2回受けるのですか?
MRワクチンは、1回の接種で95%以上のお子さんに免疫がつくことがはっきりわかっています。ただ、言いかえると20人に1人くらいは、1回では免疫が十分につかないことがあります。また、一度ついた免疫が年月とともに弱まることもあります。2回目の接種は、この「すき間」をふさぎ、お子さんを麻しん(はしか)や風しんから守るためのものです。2回受けていれば、万一かかっても軽く済むことが多いとされています。麻しんは感染力がとても強く、特効薬がない病気で、2026年は国内でも患者さんが増えています。
定期接種として無料で受けられるのは、年長さんの4月1日から3月31日までの1年間です。今年度の年長さんは2027年3月31日が期限で、過ぎると自費になります。なお、ワクチン不足の影響を受けた2024年度の年長さん(現在の小学2年生)は、特例として2027年3月31日まで無料で受けられます。
おたふくかぜワクチンは任意接種なのに、2回目も必要ですか?
おたふくかぜは「耳の下が腫れるだけの軽い病気」と思われがちですが、まれに難聴(耳が聞こえにくくなること)を起こします。多くは片方の耳ですが、いったん起こると回復が難しいことがわかっています。2015〜2016年の全国調査では、2年間で少なくとも348人がおたふくかぜによる難聴と診断されました。このほか、無菌性髄膜炎(脳を包む膜の炎症)などの合併症もあります。特効薬はなく、ワクチンが予防の手段となります。そのため、1歳と、5歳以上7歳未満(MRワクチン2回目と同じ時期)の2回接種がすすめられています。
ワクチンにも副反応はあります。ごくまれに無菌性髄膜炎が起こることがあり、国内の調査では10万回の接種あたり約9〜13件でした。自然にかかった場合(症状が出た人の1〜10%)と比べると、ずっと少ない頻度です。
現在は任意接種(自費)ですが、国では2027年度からの定期接種化に向けた検討が進んでいます。ただし正式な決定はまだで、今の年長さんが対象になるかどうかもわかっていません。2回目に適した時期を逃さないよう、今のうちに受けておくことをおすすめします。
2つのワクチンを一緒に受けても大丈夫ですか?
はい、同じ日に受けられます。複数のワクチンを同時に受けても、効果が下がったり副反応が増えたりしないことが多くの研究で確かめられています。MRワクチンとおたふくかぜワクチンは、どちらも注射の生ワクチン(弱めたウイルスを使うワクチン)で、別の日に受ける場合は27日以上あける決まりがあります。同じ日に受ければ通院が1回で済み、3月31日の期限にも間に合わせやすくなります。
わが子への接種が、周りの人を守ることにもつながるのですか?
はい。ワクチンはまずお子さん自身を守るものですが、多くの人が受けることで病気が広がりにくくなります。周りには、まだワクチンを受けられない1歳未満の赤ちゃんや、病気の治療中で受けられない方もいます。また、妊娠中の方が風しんにかかると、おなかの赤ちゃんの目・耳・心臓に影響が出ることがあります(先天性風しん症候群)。お子さんが2回の接種を済ませることは、こうした方々を守り、将来お子さん自身が親になったときに赤ちゃんを守ることにもつながります。MRワクチン2回目の接種率は全国で約91%と、目標の95%にわずかに届いていません。
将来の留学にも関係するのですか?
はい、関係します。アメリカをはじめ海外の大学や学校の多くは、入学の条件として麻しん・風しん・おたふくかぜのワクチンを2回受けた記録の提出を求めています。国内でも、教育や医療などの実習がある大学では、2回接種の記録を求められることがあります。記録が足りないと、出発や入学の前に追加の接種や血液検査が必要になることもあります。小さいうちに2回の接種を済ませ、母子手帳を大切に保管しておくと、英文の予防接種証明書の作成もスムーズです。
おうちでできること
・母子手帳の予防接種のページで、MRとおたふくかぜの接種回数を確認する
・記録がわかりにくいときは、母子手帳を持って医療機関で相談する
・接種後は普段どおりに過ごし、1〜3週間ほどは熱や発疹がないか様子を見る
・母子手帳は将来の証明にも使うので、大切に保管する
・予防接種はウェブからご予約いただけます(ウェブ予約はこちら)
接種後の受診の目安
すぐに受診してください
・けいれんを起こした
・ぐったりして、呼びかけへの反応が鈍い
・強い頭痛や、くり返す嘔吐がある
・接種直後に、じんましん・顔色が悪い・息苦しそうなどの様子がある
診療時間内に受診・ご相談ください
・熱が2日以上続く
・耳の下の腫れが強い、痛がる
・接種した部位が大きく腫れている
様子を見てよい目安
・熱があっても、元気で水分がとれている
・接種した部位が少し赤い
・接種後1〜2週間ごろに軽い発疹が出たが、元気にしている
夜間・休日に迷うときは、こども医療でんわ相談(#8000)もご利用ください。
院長のひとこと
ワクチンについてはさまざまな情報があり、不安や迷いを感じるのは自然なことです。外来でも「本当に必要ですか」と聞かれることがありますが、そうした質問は大歓迎です。慢性疾患や持病で通院中のお子さんも、多くは通常どおり接種できます。お子さんの体調も含めて、納得して受けていただくことが何より大切だと考えています。気になることがあれば、母子手帳を持って遠慮なくご相談ください。
まとめ
・就学前に受けておきたいのは、MRワクチンとおたふくかぜワクチンの2回目です
・MRワクチンの2回目は、年長さんの3月31日まで無料で受けられます
・2つは同じ日に受けられます。別の日に受けるときは27日以上あけます
・まずは母子手帳で接種回数を確認してみましょう
参考文献
・国立健康危機管理研究機構「麻しんQ&A(麻しんワクチンについて)」
・日本小児科学会「乾燥弱毒生麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種率の現状と課題について」
・日本耳鼻咽喉科学会「2015-2016年にかけて発症したムンプス難聴の大規模全国調査」(厚生労働省 審議会資料)
最終確認日:2026年11月1日
監修
石黒寛之 日本小児科学会 小児科専門医・日本内分泌学会 内分泌代謝(小児科)専門医
更新日
2026年11月1日

