アレルギー性鼻炎の「舌下免疫療法」、子どもも受けられる?
- 2026年9月15日
- アレルギー
アレルギーとは?
毎年決まった季節になるとくしゃみや鼻水が止まらなくなったり、一年を通してハウスダスト(ダニ)で鼻がぐずぐずしていたり。そんなお子さんの様子を見て、「お薬を飲み続ける以外に、何か根本的な方法はないのかな」と感じたことのある保護者の方は多いのではないでしょうか。私たちの体には、体に入ってきたウイルスや細菌などの異物から体を守るための「免疫」というしくみが備わっています。アレルギーは、この免疫のはたらきが、花粉やダニ、食べ物など本来は体に害のないものに対しても過剰に反応してしまうことで起こります。反応が起こると、くしゃみや鼻水、かゆみ、咳といった症状が現れます。今回は、アレルギー性鼻炎の基本的なしくみと、治療法のひとつである「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」について、当院での対応も含めてご紹介します。
アレルギー性鼻炎とは?
アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜でこのアレルギー反応が起こる病気です。原因となるアレルゲン(アレルギーの原因物質)によって、大きく2つのタイプに分けられます。1年を通して症状が出る「通年性アレルギー性鼻炎」(主な原因はダニやハウスダスト)と、決まった季節だけ症状が出る「季節性アレルギー性鼻炎」、いわゆる花粉症(スギ花粉など)です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状で、目のかゆみや充血を伴うこともあります。
命に関わる病気ではありませんが、症状が続くことでお子さんの毎日の生活に影響が出ることが少なくありません。
・鼻づまりで夜よく眠れず、日中ぼんやりしてしまう
・集中力が続かず、勉強や園・学校での活動に影響が出る
・鼻づまりのために口で呼吸する癖がつきやすくなる
・目のかゆみや涙目で、外遊びやスポーツがつらくなる
・機嫌が悪くなりやすく、保護者の方も対応に悩まれることが多い
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルゲンをごく少量から舌の下に含み、少しずつ体を慣らしていくことで、体質そのものの変化を目指す治療法です。くしゃみや鼻水をその場で抑えるお薬とは異なり、時間をかけてアレルギーの出方そのものを変えていくことを目的としています。
現在、保険診療で受けられる舌下免疫療法には、ハウスダスト(ダニ)を原因とするアレルギー性鼻炎向けのお薬と、スギ花粉症向けのお薬の2種類があります。当院では、5歳以上のお子さんを対象に治療を行っています。
まず血液検査などで、くしゃみや鼻水の原因がダニなのか、スギ花粉なのか(あるいは両方なのか)を確認します。治療を開始する初日は医療機関で服用していただき、その後30分ほどお子さんの様子を見せていただきます。2日目以降はご自宅で、1日1回、決まった量を舌の下に含んでいただく形になります。
・はじめの1〜2週間:少しずつ量を増やしていく期間
・その後:毎日同じ量を継続する期間
効果をしっかり得るためには、3〜5年ほど毎日続けることが推奨されています。月に1回程度の通院で経過をみていきます。
期待できる効果
即効性のある治療ではなく、効果を感じ始めるまでには半年から1年ほどかかることが多いです。継続することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状の軽減や、お薬の使用量を減らせることが期待できます。すべてのお子さんに同じように効果が出るわけではありませんが、全体としてはおよそ8割程度の方で何らかの効果が確認されているという報告があります。
副作用と安全性
治療を始めてから1か月ほどは、口の中や喉のかゆみ、腫れぼったさなどが出ることがあります。これらの多くは、続けているうちに自然と落ち着いてきます。まれに、じんましんや息苦しさなどの全身症状(アナフィラキシー)が起こる可能性もゼロではないため、初回の服用は必ず医療機関で行い、その後もしばらくは経過を見せていただきます。国内でこうした重い症状が起きた報告はごくわずかで、これまでに命に関わる事故は報告されていません。
始めるタイミング
スギ花粉症のお薬は、花粉が飛んでいる時期(1〜4月頃)に新しく始めることができません。そのため、症状が落ち着いている今の時期(夏から秋)は、来年の花粉シーズンに向けて治療を始めるのに適したタイミングといえます。ダニのアレルギーについては、季節を問わず始めることができます。
まとめ
・アレルギー性鼻炎は、免疫が花粉やダニに過剰に反応することで起こります
・症状が続くと、睡眠や集中力など日常生活に影響が出ることがあります
・舌下免疫療法は、ダニアレルギーとスギ花粉症、それぞれに対応するお薬がある治療法です
・対象年齢は5歳以上です
・治療は3〜5年ほど、毎日続ける必要があります
・効果が出るまでには半年〜1年ほどかかります
・副作用の多くは口の中の症状で、まれに全身症状が起こることもあるため、初回は医療機関で服用します
・スギ花粉症の治療は、花粉の飛んでいない時期に始める必要があります
参考資料:日本アレルギー学会「アレルゲン免疫療法の手引き2025」

